学生ローンには、最低限守らなければならないならないルールがいくつかあり、月々の返済はもちろんだが、その他のルールとしては、以下のようなものがある。
1つは住所変更や携帯電話の番号の変更など。
これらは所在不明のまま放置すると、重大な報告義務に違反したとして、一括返済を求められる可能性があるので注意したい。
「所在不明」のまま放置した場合、起こりうる問題として、
(ア)借り入れ利用枠の減額、または停止。
(イ)債権回収
(ア)の利用枠の減額・停止は、現実的に日常茶判事で実行される措置だ。
今まで普通に使えていものが、突然使えなくなるのだから大変な事態である。
利用限度額をアテにしていた場合、そのショックはあまりにも大きいし、けい経済活動に支障が出る事が大いに考えられる。
一方、(イ)の債権回収は、返済が長期延滞でもしていない限り大丈夫だが、長期延滞があると深刻な問題となる場合もある。
それは、裁判になった場合である。
裁判になると通常は自宅住所に裁判所から通知が届くのだが、所在不明の場合は「公示送達」という方法が行われる。
公示送達とは、裁判所内に裁判を行う旨を掲示し、自宅に送ったのと同じ扱いにする通知方法だ。
自宅郵送であれば裁判が行われる事を本人が知りえるので、反論があれば出廷する事によって意見を述べる事ができる。
しかし、公示送達だと本人は提訴された事をしらないので、知らない間に裁判が進行してしまい、反論がないわけだから確実に敗訴となってしまうのだ。
借りに出廷したとしても、過払い金がない限り敗訴は濃厚なのだが、長期間にわたって利用していた場合、過払い金発生の可能性は大いにありうる。
過払いを請求すれば逆にお金が戻ってくるところを、先に貸金請求の方で判決が出ていた場合、例外はあるものの過払い金を取り戻す事が困難となるケースが多い。
カラクリはこうだ。
貸金請求事件として提訴する場合、利息制限法で引きなおして行うものだが、過去に一度でも延滞があった場合、そこから遅延損害金利率で引きなおす事が多いためだ。
もちろんこれは合法であり、裁判にならなければ18.0%で計算されていたところまで20.0%で計算されるので、かえって残高が増えてしまう事も少なくないのだ。
2つ目は、学生ローンが審査の結果で出した与信枠に対し、不服がある場合は紳士的に聞くことだ。
そこでけんか腰で悪態をつくと、それ自体も審査の対象となる。
いわゆるモンスターペアレントと判断され、与信枠がゼロとされるケースも珍しくない。
また、残高の誤解によるトラブルも少なくないので覚えておいてもらいたい。
このケースでよく見られるものとして、支払日の勘違いによる延滞利息での差額や、入金したつもりが途中抜けていた場合など、様々な要因がある事が多い。
これらのケースでは、毎月の支払日の確認と、3ヶ月に一度は残高確認をする等で防げる問題である。
いずれにしても自己責任である事を自覚すべきで、クレームをつける前によく確認しておきたいところだ。
3つ目は、郵便物が届いた届かないという問題もしばしば起きる問題である。
これは「届かない」というクレームと、「なぜ送ったんだ!!」という両方が存在する。
前者は完済した場合などに多く見られ、後者は延滞が発生した場合によく見られるものである。
完済した場合、郵便物の送付については、学生ローンでは一定のルールを設けている。
まずは電話連絡があり、送付の希望の有無が確認取れている場合はそちらを優先する。
希望が確認取れていない場合は、一人暮らしの場合は送付するが、家族と同居の場合は郵送を見送るようにしている。
もしも見られた場合のリスクを考慮しての配慮だ。
返済が遅れている場合については、学生ローンや消費者金融は、延滞者に対して督促をする事はごく当たり前の事であり、これに対して文句を言うのは筋違いもいいところだ。
「なぜ送ったんだ!!」とくるが、遅れているから送ったのである。
何も悪い事などしていない。
むしろ、非は遅れる方にある事は自明の理である。
このような状況で督促をしない貸金業者は皆無であり、将来的に可能性のある裁判等の法的手続きの際にも支障が出るので、長期延滞者に対する督促は、絶対的に不可欠なものなのである。
別の角度から言えば、もし貴方が誰かにお金を貸していて、その人がなかなか返さなかった場合、当然催促をするだろう。
この場合、どちらに非があるのかをよく考えてもらいたい。
しかし、中にはこんな意見も聞かれる。
「学生ローンは利息を取っているのだから、延滞しようが構わないじゃないか!!」
確かにそうなのだが、それは支払いをちゃんとやっているお客様に対してであって、長期延滞者には当てはまらない。
貸した金には期限の利益というものがある。
期限の利益とは、例えば今長期にわたって焦げ付いている債権を、回収できれば別の何かに運用できるという事である。
回収できなければ本来得られるはずだった利益の損害を被るばかりか、なかなか回収できない手間や精神的疲労の損害も被るわけだ。
したがって「利息を取るのだから良いではないか」という論法は成り立たないのである。
「借りたものは返す」
至極当たり前の話が、なぜかわからない人が多い昨今である。